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なめた債権者を追い込むときはとことんやるという、闇金融『カウカウファイナンス』の社長である通称「ウシジマくん(以下:丑嶋)」。この記事では、金と見栄と薬に憑りつかれたOLを丑嶋が追い込んだ「若い女くん」のネタバレと感想をご紹介します。
主人公は大手企業でOLをしている村田久美子(以下:村田)。会社の同僚との海外旅行資金、30万円を融資してもらうべくカウカウファイナンスに訪れます。
しかし、カウカウファイナンスの金利は10日5割の通称「トゴ」。通常の仕事で貰える給料では借金の返済ができなくなってしまった村田は、丑嶋の手によって社会の闇に放り出されます。
若い女くんのあらすじとネタバレ
大手企業でOLをしている村田は、すでに6社から合計200万円を借金している債権者。闇金融であるカウカウファイナンスを訪れます。
「今日中に30万円銀行に振り込まないとマズイのに…。」そう話す村田に丑嶋はその理由を尋ねます。
「会社の同僚と海外旅行に行くんです。今日中に旅行代理店にお金を振り込まないとキャンセルされちゃうんです。」と返答する村田。「別に旅行なんてイイじゃないですか。」と丑嶋は村田を諭します。
「旅行なんてどうでもいいんです。問題は同僚との約束を破ってしまうことなんです。」と訴える村田。「OL同士はいくつかのグループがあって、のけものにされると会社にいられなくなる。」「だから無理してでもグループに合わせるんです。」と続けます。
「なんでそこまで無理をするんですか。」そう尋ねる丑嶋に対して村田は、「女はなめられたら終わりじゃないですか。下着にだって気を遣いますよ。」と返します。
その言葉を聞いて丑嶋は「わかりました。」と30万円の融資を受け入れます。
丑嶋にペコペコと何度も頭を下げる村田。しかしここで30万円しか借りていないのに借用書の金額が45万円になっていることに気が付きます。
「法定金利は年29.2%ですよね。」と前置きした上で、「こんなのはサギよ!」と村田は丑嶋に詰め寄ります。
「自分の立場わかってる?」丑嶋が口を開います。「ほかの金融業者から借りれないからウチに来たんだろ。」「俺の方は別に貸さなくったって構わないんだぜ!」そう続ける丑嶋に「すみません貸してください。」と村田は言うしかありませんでした。
「アホ女の基本は見栄っ張りだよな。」カウカウファイナンスを後にする村田を見ながら、丑嶋は部下である高田に語りかけます。「借金まみれの女からどうやって金を回収するのか。」と高田が丑嶋に尋ねます。
「若い女ならいくらでも回収する方法はある!いくらでもな!」と返答し、悪い顔をする丑嶋。丑嶋から金を借りたことをきっかけに村田の地獄が始まります。
闇の世界に堕ちていく村田
「実はお金が返済できません。」丑嶋に対して、そう正直に話す村田。「誠実な人好きよ!」と丑嶋は村田を許し、ジャンプを提案します。
ジャンプとは、新たにお金を融資し、その融資したお金からこれまでの返済分を返すという方法のこと。村田はこれを厚意と取り、ジャンプをします。
しかし、これは村田を借金漬けにする丑嶋の作戦でした。村田はジャンプという制度にズルズルと甘え、借金を30万から280万円まで膨らませてしまいます。
「そんなお金払えるわけないでしょ…」と絶望感を覚える村田に、丑嶋は「夜の仕事すっか?」と風俗店を紹介します。
「ちはる」の源氏名で風俗嬢になった村田
金利を10日5割から10日1割に下げてもらい、風俗嬢となった村田。それでも10日後に返済しなければならない金額は28万円です。
「10日で28万円稼ぐのは大変だよ。」村田が務める風俗店の上司が村田にそう告げます。
「風俗嬢だから簡単に稼げるのは間違い。」「ホームページの広告に顔を出し、遅番で週6日出勤。指名人数が月20人以上。それをクリアしたら1日3万5千円は保障する。」と上司は村田に提案します。
「リサ」という風俗嬢の新しい友達もでき、借金返済に向けて夜の仕事に励む村田。いい流れになってきたと思った矢先、務めていた会社に村田が風俗嬢をやっていることがバレてしまいます。
会社に居辛くなり、退職届を提出する村田。「最近なんかウツ気味で、朝起きるのも辛い。」とリサに相談します。そんな村田にリサは「気分がよくなる薬だよ。」と薬を渡します。
薬漬けになり、完全に堕ちてしまった村田
村田は、何か嫌なことがあるたびにリサからもらった薬を頼るようになります。「一度に4錠飲んでも効かなくって。」と相談してくる村田に対してリサは更に強い薬を勧めます。
薬の作用もあり、村田の身体はボロボロになってしまいます。痩せこけ、髪は痛み、肌はガサガサ。遂には風俗店から追い出され、人妻デリヘルを紹介されます。
人妻デリヘルとして派遣された家の環境は劣悪なものでした。汚い部屋、耐えられない強烈な悪臭。たまらず村田はお店に連絡し、キャンセルをしてもらうように伝えます。
しかし、丑嶋からの借金を返済しなければならない村田は断れる立場ではありません。「テメェーが客選べる立場か!?コラ!?」と恫喝され、その部屋へと消えていきました。
逃げ場を失い、薬に蝕まれていく村田は堕ちる所まで堕ちてしまいます。
「人間こうなったらオシマイっすねー。」街で変わり果てた村田を見かけた高田が一緒に歩いていた丑嶋に声をかけます。「独りぼっちでなんかカワイソ~。」と続ける高田。
「生きてりゃどっかに納まる所あんだろ。地球に60億も人間がいるんだろ?」丑嶋は高田にそう返答します。
「まっ、俺は嫌だけど。」そうつぶやき、丑嶋はその場を後にしました。
「若い女くん」を読んだ感想について
「若い女くん」編を読んで考えさせられたのは、「自分をしっかり持つことの大切さ」と「薬物の怖さ」の2つです。
自分をしっかり持つことの大切さ
最終的に心身ともにボロボロになってしまった村田ですが、そのきっかけとなったのが丑嶋から30万円の借金をしたことでした。借金の理由は同僚との約束を破りたくないから。「のけものにされると会社に居づらくなる。」「女はなめられたら終わり」とも村田は発言していました。
しかし、自分をしっかり持っている人は、借金をしてまで周りに同調しません。「アホ女の基本は見栄っ張りだよな。」と丑嶋が言うように、自分をちゃんと知っているは見栄を張っても一時の優越感しか味わえないことを知っているし、身の丈に合った生活を送ります。
周りに同調することでしか存在意義を見出せなかった村田。もし村田が自分をちゃんと知っていて、身の丈に合った生活を送っていれば、借金はおろか、丑嶋と出会うこともなかったでしょう。
薬物の怖さ
「若い女くん」編では、薬物を使用することで起こる体の変化について隠すことなく描写されており、薬物を使い続けた結果どうなってしまうのかというところまでも踏み込んで描かれています。
漫画なので誇張表現がされている可能性もありますが、「薬物は怖い」と、読んでいる人は感じることができるでしょう。
薬物に手を出してしまう理由はさまざまですが、村田の場合は現実逃避でした。
会社に退職届を出した、人妻ヘルスを紹介されたなど、村田は嫌なことがあるたびに薬を服用し、現実を直視しようとしませんでした。
もし村田が自分をしっかり持っていれば、嫌なことがあっても現実を直視できる強い人間だったら、薬物に手を染めることはなかったでしょう。
- 「若い女くん」の主人公は大手企業でOLをしている村田久美子
- 村田の借金の理由は同僚との約束を破らないようにするため
- 借金が返せなくなった村田は丑嶋の手によって風俗の世界へ
- 風俗で出会った友達に薬物を勧められ、村田は嫌なことがあるたびに薬を使うようになる
- 最終的に村田は薬物によって体も心も壊れてしまう
いかがでしょうか。
以上が「若い女くん」編のネタバレと感想です。
「若い女くん」はウシジマくん1巻に収録されています。ウシジマくんを読んだことがないという方は、ぜひ一度ウシジマくんを読んでみてください。
もう読んだという方も、再度読み返してみることで新たな発見があるかも知れませんよ。